サッカーのワールドカップを見る人が増えて以来、ブラジルという国もブラジリアンサンバというダンスも、よく見かけるようになりました。100メートルを全力疾走するようなステップを踏むサンバダンスは楽しいだけでなく、自己開示をするのが上手になる表現を磨けるダンスでした。
趣味の世界も大事
ブラジリアンサンバで開花した才能?
私は50歳から60歳までの10年、ブラジリアンサンバにハマっていました。なぜブラジリアンサンバを始めたんだろうと考えると、いろいろな記憶がよみがえります。
当時たまたま入った木の作りの広くて素敵なクラブで、浅草のサンバカーニバルの立ち上げに参加していた重要人物で、日本で最初のサンバを演奏するグループのリーダーだったヘンリー久原というミュージシャンのおじさまに出会いました。そしてヘンリーさんが育てた歌手でありダンサーの菅アミさんという女性に出会ったのが、「サンバやりたいな」と思えたきっかけです。
何気ない「教えてないの?」「教えてます」というやり取りですぐに決まったレッスン開始でしたが、音楽好きな私は、ラテンも大好きなジャンル、その音楽で踊れるのが楽しくて、今までにない自分を発見しました。
ブラジリアンサンバがすごく上手だったという意味での才能ではなく、人はどんなに忙しくても、大変でも、楽しい事をすると元気になるし、頑張れるし、その先には人を集められる自分にもなれるんだという事を知りました。自分にも物事をこんなに楽しめるという才能があって、その才能を使って没頭すると、他の事も上手く回りだす。
ブラジリアンサンバをやってから、仕事もとてもうまくいくようになりました。
楽しさが相手の心を開く
例えば、優秀なセールスマンは物を売らないというのがあります。
売られる側になった時、押し売りみたいにガンガン物を売られたら、嫌気がさしますよね。だから、商品について勉強し、それを語り、熱意を持って説明しても、結局売れない。
一方で、人に会って、飲んで食べて面白い話をしたり、お互いの趣味を語ったりして時間を過ごし、友達のようになってしまうと、ある日「ところでアレ欲しいんだけど」とあちらから言われたりする。営業ゼロが営業になっちゃうんですね。
好きな趣味とかは本当に好きじゃないと楽しさは相手に伝わらないので、相手に合わせてやっつけで見つけた趣味ではダメですが、本当に好きなことをやっていると、人が吸い寄せられてくる。
日本人は比較的遊ぶのが苦手です。でももし自分のやりたいことがあったら、趣味を一つ持って楽しむという事を身に着けると、仕事での楽しみ方も腑に落とせるかも知れませんね。これは私もいつも心がけています。
遊び心、遊び心。
サンバをやって変わったこと
サンバをやって一番変わったのは、筋肉がついたこと。
サンバのステップは100メートル全力疾走するくらいの感じなので、ステップを踏み続けることは出来ないんです。だからプロのダンサーさん達も、ステップと他の動きを混ぜながら、踊り続けます。ガーっとステップを踏むのは圧巻ですが、ずっとやってたら倒れる(笑)
そんなブラジリアンサンバをやっている時は、お腹が縦にうっすら割れていましたし、腕もスッキリしていたんだと思います。
そしてこれは全てのダンスに言える事だと思いますが、ダンスは体幹が付きます。そもそも歩くというのは片足立ちの繰り返しですが、ダンスは股関節から上げて動くので、片足立ちの時間が長い。自然と体幹がついてしまいます。腰を回すにも軸がズレるとキレイにま回らないので、やっているうちにだんだん整う感じ。
ですがね、どの運動も同じですが、60歳でやめた時、3ヶ月で筋肉が落ちました。筋肉は何歳になっても鍛えられると言いますが、筋肉付けるのは、まぁまぁ大変です。なのに落ちるのは3ヶ月。筋肉が落ちると体幹も鈍るんですよね。
ですが、今でもあの楽しさは残っていて、音楽を聴くにも(ラテンに限らず)耳で聴くのではなく体で聴いてる感じは変わりません。別に踊るわけではなくても、身体がリズムをとっていると耳でだけ聴くより、いろんな音が入って来る。
そして、物事を楽しむ時の努力とでもいいますか、楽しむには練習が欠かせなくて、それはそれで結構辛かったりもします。でももっと上手になりたいという気持ちが、辛い練習を楽しくしてくれる。
これは仕事でも大いに役立っています。
苦しくなったら楽しむことを考えよう!
私の中で、仕事をしていてもこれが合言葉になっていて、息詰まったら楽しむ!ということをいつも頭に描いています。